緊張しないで演奏したい?【あがり症を克服する!】

今回の記事では、世にある緊張克服法を一挙に紹介し、それに加えてカラダ♮でしか聞けない特別な方法をお伝えします!

この記事はカラダ♮のYouTubeで発信している動画の内容を記事に直したものです。
映像を見た方がわかりやすい所も多々ありますので、ぜひ動画も参考にご覧ください!

世にある緊張克服法

演奏時の緊張への対策法を調べてみたら、すさまじい数があったので下にまとめてみました。5つのカテゴリーに分けています。
詳しく知りたい方は、インターネットや書籍で調べてみてください。

1.徹底的に練習する・慣れる

・曲のどこからでも弾けるようにしておく
・暗譜を確かにする
・映像として楽譜を記憶しておく
・練習で弾き流しているところがないかチェックする
・不安な部分を早い時期に克服しておく
・今弾いている所より少し先を考えて弾けるようにする
・逆に力を入れて練習する
・録音して自分の演奏を客観的に聞く
・基礎力をつける
・家族、友人に演奏を聴いてもらう
・止まらずに続ける練習をする
・手が冷たい状態で演奏する
・全力疾走して鼓動を速めてから演奏する
・意図的に呼吸が苦しくなる状況を作り練習する
・その日初めて楽器を触る時に通し練習をする
・動画に撮影しながら練習する
・絶対ミスしてはいけないと思って練習する
・場所、服装を変えて演奏してみる
・本番の場数を踏む
・リハーサルで緊張するように心がける

*筆者が興味深いなと思った項目は太字にしています。

この辺は、音大生やプロにとっては当然の知識も多いでしょうか。
「逆に力を入れて練習する」は実践している人を何人か知っています。「逆に」がついている理由は、普通は「脱力、リラックス」だからです。興味深いですね!
「その日初めて楽器に触る時に通し練習をする」というのはいいアイデアですね!手がおぼついてない時にわざと通し練習をするという、わりとマッチョなアイデアです。

また、当然ながら「基礎力をつける」というのは本当にその通りですね。
基礎力が足りていないと、いくら練習しても綱渡りのような演奏になって、ちょっとしたことで真っ逆さまに落ちてしまいますよね。
ただ、どうやって基礎力をつけたらいいんだってことですが、これについてもまた違う記事で取り上げてみましょう!

2.イメージトレーニング

・イメージだけで練習する
・成功した姿を普段から想像する
・本番の舞台をイメージする
・瞑想する
・冷水を浴びる
・本番前に予め録音しておいた自分の演奏を聞く

イメージトレーニングは有名な割に、まあまあ難しいです。それこそイメージの世界だけで終わっちゃうことも。補助的に使うのはアリですね。
「冷や水を浴びる」というのは面白いですね!提唱者によると冷たい水をかぶることで、心臓がバクバクし、緊張した状態を疑似体験できるそうです!

3.食事、睡眠、運動

脳内ホルモンのセロトニンやGABAを増やす食事をとる
・本番当日は消化の良いものを食べる
・意識的に水分をとる
・甘いものを食べる
・本番2-3時間前に食事を終わらせる
・体調を整える
・本番前に寝る
・姿勢を整える
・ストレッチなどをして体を動かす
・筋肉を一気に引き締めてから緩める
・手を温める
・手のひらや甲をマッサージする
・腰を動かす
・深呼吸をして息を整える
・息を吐く

緊張対策でなく、健康対策みたいになりました。確かに食事、睡眠、運動は基本です!

4.考え方を変える

・緊張は自然な生理反応であると理解する
・緊張と闘わない
・音楽を楽しむ
・自分を信じる
・完璧主義にならない
・自意識過剰にならない
・人と比較しすぎない
・人の評価を絶対視しない
・聴衆は敵ではないと思う
・ミスの数より演奏全体の印象を大事にする
・ネガティブな考えを持たない
・ポジティブな自己暗示をする
・成功体験を増やす

どれも大事なことだと思いますが、メンタルからアプローチするのは最も難しいです。考え方や価値観を変えるのは簡単じゃないです。
それこそ人生に雷が落ちてこないとなかなか価値観は変化しません。

5.その他

自分に合った曲を選ぶ
・初出しの曲は大きな舞台で弾かない
・本番前に練習しない・楽譜を見ない

その他カテゴライズできないものです。あまりに数が多すぎたので、おまじないや気休めの類は省いています。

「自分に合った曲を選ぶ」というのは超有効な割には、見落とされがちですね。
「弾きたい曲」ってだけで選んでしまうと、色んな無理が出てきて、本番は緊張してしまうって結果になりやすいです。

いやはや、すごいたくさんの方法があるもんですね。
でも裏を返せば、だれも完全な答えを知らない問題ということかもしれません。
ここからはこの問題に、カラダ♮独自の視点で切り込んでいこうと思います!

緊張する人の特徴

演奏する時に緊張しない、もしくは緊張しても演奏をコントロールできる人、あまつさえ緊張を利用して普段以上の力を出せる人というのはいます。
それでは、そういう人と、緊張してコントロールできなくなる人、あがってしまう人の差はなんでしょう?

結論から言うと、

1.マルチタスクが苦手。
2.実力が足りていない。

実はこの二つでほぼ説明できてしまいます。

1.マルチタスクが苦手

ここの理論的背景を説明しようとするとたいへんなので、簡単にお伝えしようと思います。

あなたが緊張してコントロールできなくなるものはなんですか?
特定の行為や楽器、曲、パッセージなど色々思い当たると思います。

それは、緊張していなくても、他のことをしながらだとできなくなるはずです。
例えば、演奏しながら今日食べたご飯を言うことができますか?楽器を弾きながら簡単な文章を読んで朗読できますか?
また歌手であるならば、歩きながら歌えますか?スクワットしながらは?
本当に簡単な行動で大丈夫です。音楽を止めずにできるか試してみてください。

緊張に悩んでいる人は、だいたいマルチタスクが苦手です。
演奏をコントロールするには、脳の中で一定の神経だけを発火させて、他の神経を抑制させなければいけません。
本番などのプレッシャーがかかる場面では、膨大な情報が脳に流れ込んできます。それらのノイズを脳内で抑制する訓練が足りていないんです。

ここにピンときた人は、何か単純なことをしながら練習する工夫を取り入れてみてください。
わたしのおすすめは、誰かと会話しながら練習することです。レッスンしている人であれば、生徒に模範演奏をしてあげながら、曲について解説してみましょう。
また日常生活から、同時に何かをやるように心がけてみてください。(ながら運転はダメですよ!失敗しても良いものでやりましょう。)
脳がマルチタスクの訓練をつめばつむほど、緊張に強い人になれるはずです。

2.実力が足りていない

二番目の差は、実力不足です!
もちろんのことながら、練習不足だったり基礎力が不足していると、少しのプレッシャーでコントロールできなくなります。
そういう実力も大事なんですが、ここで言っている実力とはもっと大元の、身体を思い通りに動かせるかどうか、いわゆる「演奏家としての才能」にあたる部分です。
(これについては他の記事で詳しく説明しています。参考記事:フェルデンクライス・メソッドとは?【完全解説!】)
これが足りていないと、いくら練習しても十分にコントロールできるようにはなりません。

それでは、器楽奏者向けに、この一番大事な実力が不足していないか簡単にチェックする方法と、それを鍛える方法を教えましょう!

1.まず両足裏を合わせて座ってください。両手を後ろにおいて身体を支えてください。
2.その状態で、おへそを前に突き出してみましょう。骨盤が前に転がる筈です。
3.今度はその逆に、後ろに骨盤を転がしてみましょう。
4.それでは今やった方法で、骨盤を前後に動かしてください。リラックスして、大きく動かしましょう。
5.今度は骨盤を左に転がしてみてください。左ひざが地面に近づくはずです。
6.反対に右に転がしてみましょう。
7.骨盤の左右の動きもリラックスして、大きく動かしてみましょう。
8.それでは最後に、前後左右の4点を通る円を描くように骨盤を大きく転がしてください。時計回り、反時計回りどちらにもやりましょう。
9.さあ、ここでチェックです!骨盤で大きく円を描いている時に、両肘が曲がっていませんか?曲げないように骨盤を転がせますか?
10.ここで右ひじだけ曲がってしまう、曲がりやすい、という方は右手の実力が足りていません。反対に、左ひじが曲がりやすい方は、左手の実力不足です。両肘という方は、両手とも訓練が必要です。

さあ、チェックできましたか?
どちらか一方の手のコントロールが苦手な人は、考えてみてください。
ひじが曲がらなかった方と苦手意識がある手は一致していませんか?
またひじが曲がっているかわからない・感じられないという人もいると思います。そういう場合は鏡で見てチェックしてください。でもそういう人は、だいたい曲がっています。

両肘を楽に伸ばして骨盤を転がせた人は大丈夫ですが、難しかった人はこのトレーニングを定期的に、楽にできるようになるまで続けてみてください。
緊張してもコントロールできる範囲が広がっていくはずです!

自分にレッテルをはらない

繰り返しになりますが、以上の二つだけでほとんどのケースを説明できます。
緊張に悩んでいる人は「自分はあがり症なんだ」というレッテルをはっていたりします。
しかし、どんなに緊張する人でも、舞台に歩いて出ていくことはできます。
つまりあなたは「あがり症」なんではなく、単に人には「緊張していてもできること」と「緊張するとできなくなること」があるだけなんです。

もしも、問題の原因に対して正しく対処していくならば、結果は必ずついてきます!

今回はあえて、なぜそのような結論になるのか、理論の説明を最小限に留めました。
理論に納得してもらうよりも体験につながってほしいと考えたからです!
カラダ♮では音楽家に役立つ情報をたくさん発信しています!詳しく知りたいという方は、他の記事もチェックしてみてください。
舞台の上でも自由に音楽を楽しめる音楽家になりたいですね!
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