わたしの今までの人生で、どうしようもない時ってけっこうありました。
もちろん、わたしよりもっと深刻な状況におられる方はたくさんいますが、わたしなりにいろいろ悩んできました。
一番印象的な体験はジストニアになった期間ですが、他にも自分の理想と現実のギャップがあまりに大きくて、絶望に押しつぶされそうに何度もなってきました。
まだまだ何かの答えを見出したとはとても言えませんが、これからの自分の為にも、他の人の為にも何かの助けになればいいかなと思って、これを書いています。
絶望しかない時はどうすればいいんでしょう?
解決策はあるの?
おそらくですが、ありません。
わたしの体験からですが、まずここから発進すると状況を悪化させなくて済むことが多いです。
解決策がないから、どうしようもないって頭を抱えてるし、絶望してるんです。どっかに解決が簡単に転がってるはずありません。
当たり前ですが、生きてたら自分の力ではどうしようもないことがたくさん起きます。
まずは認めてしまいましょう。自分がコントロールできる範囲は限界があるって。
わたしがジストニアになり、ギターが弾けなくなった時もそうでした。
今よりももっと情報が少なくて、通説としては治る見込みはほとんどない。書籍やネットで情報を探しても、治った体験談が一つもありませんでした。
参考記事:音楽家のジストニアは治るのか?【完治した体験談】
その時、徹底的に悟ったのは「自分という人間は、自分以上の存在である」ということです。
髪の毛一本でも、自分の意志で生やすことは出来ません。毎日寝て起きてますが、起きようと思って目が覚めるわけじゃないんです。
心臓は休みなく動いてくれてますし、色々な内臓はちゃんと仕事をしてくれています。しかし、全く自分でコントロールできません。
生きようという意志をもっていますが、実際にわたしを生かしてくれてるのは何か別のものなんです。
人生はコントロールできません。問題の解決策がない時があります。
当たり前のことですが、わたしはこれに気付いていませんでした。
・・・それでは諦めるしかないんでしょうか??
船がくる
イタリアの留学中に、音楽家仲間から面白い話を聞きました。
彼はヘビースモーカーだったのですが、何度も禁煙を試みて、失敗していました。
でもある時、完全に禁煙に成功して、全くタバコをすわなくなりました。
一体どんな秘策を編み出したのかなと思い、話を聞いてみると、
「なんか・・・船がくるんですよ。それがきた時にたまたま乗れたら、禁煙できるし、乗れなかったらできない。そういう感じです。」
なんてことを言うんです。
もちろん、芸術家肌なんでそんな詩的な表現!?をするんでしょうが、その時の話がわたしの中に変に印象に残っていて、今はなんとなくその意味がわかります。
「船がくる」んです。
きてない時にいくら努力しても無理ですし、たとえきても乗らなければ無理です。
わたしの場合
ギターが弾けなくなって、一年弱ぐらいはどんどん絶望していきました。
周りには「症状がだんだん改善している!」って言ってましたけど、自分の深いところでは治っていない、希望がもてないことに気付いていました。
そんな時が続いて、いつしか何かを完全に手放した自分がいました。諦めたわけではなく、手放しました。
「自分にはコントロールできないことがある。」って深く思いました。
治ることを期待する気持ちはもっていましたが、それは自分にはできない。うまく言えないですが、自分よりも大きな何かの流れが自分の人生を決定してるって認めたんです。
そうしたら、それから数か月たって、ある日何気なくギターを手に取ると「あ、治った!」という感覚がありました。
相変わらず弾けないですし、周りの人から見たら何も変わっていないのですが、自分の中では明らかに違う感覚がありました。
船がきました。
それまでも周りに症状は良くなっていると言っていたので、その時わたしの治ったという主張に最初はみんな半信半疑でしたが、リハビリをしながらだんだん確実に弾けるようになっていくわたしを見て、一緒に喜んでくれるようになりました。
周りからはリハビリを続ける中、いつしか治ったという風に見えるでしょうが、わたしの中では、いつ流れが変わったかはっきり感覚があります。
状況が「良くなったり悪くなったり」から「確実な上向き」に変わる瞬間がありました。
わたしが信じてること
この問題は解決できないって思ったり、なにをやっても無駄って感じる時、おそらくその感覚は当たっています。
とりあえず、今の自分には状況を打破できないって認めてしまいましょう。だって十分努力しましたよ。ね?
黙って待ちましょう。
きっと船がきます。
もしかすると思ってもみない方向から現れるかもしれません。
重要なのは、きた時に乗れるかどうかです。
全く具体的でない、根拠もないような話を書いて、少し後ろめたいのですが、わたしは自分の体験から本当にそう思ってます。