ヴァイオリンで音程を取るためには、耳とテクニックの両方が必要ですよね。
耳、すなわち音感が良くないと、どこに合わせるかわからず、音程の取りようがありません。またいくら音感が良くても、それを実現する力、すなわちテクニックがないと、これまたどうしようもないんです。
そして、最後まで立ちはだかる壁はテクニックの方です。頭の中で鳴っている音をどうやって実現するか、という極めてフィジカルな問題なんですね。
というわけで、今回の動画では、音程を良くするための驚きのフィジカルトレーニングを紹介しましょう!
*この方法は、家族や友人、知人のたくさんのプロフェッショナルな弦楽器奏者に確かめてもらっています。
この記事はカラダ♮のYouTubeで発信している動画の内容を記事に直したものです。
映像を見た方がわかりやすい所も多々ありますので、ぜひ動画も参考にご覧ください!
音程が不安定になってしまう原因
音程が取れない原因を挙げようとすると、もちろん無数に考えられます。
しかし、中でも次の3つのことが、音程に悩むほぼ全てのヴァイオリニストの盲点になっています。
特に3つ目は最も大切で、今回の記事のメインテーマになっています!順に見ていきましょう。
1.人差し指(左手)に力が入りすぎている。
ヴァイオリンでは「人差し指、1の指を基準に、2、3、4の指を伸ばして音程を取りなさい」と教わるのが一般的ですが、そのためか人差し指を固定しようとして力が入りすぎてしまい、手全体が固まってしまうケースがあります。
この場合、人差し指から力を抜き、つねにふわりとおさえるだけでも指が動きやすくなり、音程がより安定します。
2.あごで楽器をおさえすぎている。
物理法則から考えると、楽器を支えているのは、左肩と左手の2点しかありません。
そして、さらに楽器を安定させるためにあごを使うわけですが、あごでおさえつけすぎると首の筋肉、特に後ろ側に負担がかかります。
実は、それが指を動きにくくします。
心当たりがある人は、まっすぐ首を伸ばして、できるだけあごで楽器をおさえないようにしてみましょう。(ミーアキャットのイメージです!)
少し心がけるだけでも、すぐに左手が動きやすくなります!
3.左肩、左胸がかたまっている。
これこそが最も気付きにくく、最も致命的な問題です。
音程だけでなく、左手に悩みを抱えているヴァイオリニストは100%、左肩や左胸(左胸郭、すなわち左の肩甲骨や鎖骨、肋骨など)がかたまっています。
ここを楽器を弾いている時でも柔らかく保てるようになると、ものすごく弾きやすくなり音程も安定します。
そして実は、左肩がリラックスすれば、先に挙げた1.2.の問題も自然に解消していきます。
そういうわけで、左肩、左胸から力を抜けると一石三鳥ぐらいの効果があるのですが、具体的にどうやったら力を抜けるようになるんでしょう?
さあ、それでは、左肩から力を抜くためのフィジカルトレーニングを紹介します!
実際に試してみて、自分の変化を感じてみましょう!
トレーニングの内容
1.楽器を構えて、G、D、A、E線の順にレ、ソ、ファ、ド#を2、1、3、4の指でおさえる。(3rdポジション)
2.左手でおさえたまま、両手を前にまっすぐ伸ばして、両手で楽器をつかむ。(楽器のボディーを両手でつかむような形。)
3.両肩甲骨を動かすことで、楽器を前後に動かす。
4.楽器を右回転させたり、左回転させる。
5.楽器を両手で持ったまま、両肘を曲げて、どこかの台に両肘をつく。
6.すこし両肘で台をおさえつけながら、おへそを見たり天井を見たりする。
7.すこし両肘で台をおさえつけながら、色んな方向をできるだけ広範囲に見ようとする。
気を付けるべき点として、3、4、6、7の動きは、左手でレ、ソ、ファ、ド#をしっかりおさえたままやってください。
また3rdポジションの音にした理由は、左手でボディーを支えやすくするためです。掌の付け根のあたりをボディーにつけてください。
*動画で手順だけでも確認するとわかりやすいと思います。
さて、一通りできましたか?
まずは楽器をおいて、自然に立ってみましょう。
・・・左腕の方が軽く、また長く感じませんか?鏡を見て実際に確かめてみてください。左肩から力が抜けて、左腕が長くなっているはずです。
それでは楽器を弾いてみてください。
・・・弾きやすくなって、音程も合いやすくなってませんか?
このフィジカルトレーニングは、毎日練習前に5分程度やるだけで十分です。
2週間も続ければ、左手が自由になってきて、かなり音程が良くなるでしょう!
トレーニングの根拠
さて、なぜ、このようなトレーニングをすると弾きやすくなるのでしょうか?
なぜ「音程を良くしたい」の願いからこのようなトレーニングの発想につながるんでしょうか?
カラダ♮が伝えようとしているのは、まさにこの「なぜ?」の知識です。
もしもトレーニングの根拠がわかっていれば、動きの範囲や速さ、力加減など細かいところまでやり方がわかって、さらに大きな効果を出せます。
また今回紹介したような特別なトレーニングを、自分の課題に合わせて、ほとんど無限に考え出せるようになります。
ぜひカラダ♮が発信している他の情報もチェックしてみてください。
知識が増し加えられ、理解が深まるほどに、あなたの音楽家としての可能性が開いていきます!
伝統は素晴らしいものですが、それに縛られてしまうと本来の可能性が奪われてしまいます。
人間そのものへの知識や理解が得られると、本当に良いものだけを選べるようになるでしょう!