ピアノを弾いてる人って、基本的に初見ができます。
わたしの周りのピアノ弾きもみーんなそう。楽譜があれば、何でもその場で弾けてしまいますし、ある程度難しいものでも、何日か練習すればできてしまいます。
なぜわたしだけがそうじゃないんだろうっていつも悩んでました。
ですから、今回の記事は、わたしみたいに初見が「極めて」苦手な人用です!
例えば・・・
1.ある程度難曲まで弾いたことがあるが、初見だとバイエルでもこわい。
2.柔軟に対応できないので、伴奏がとても苦手。
3.練習を積み重ねて、曲を覚えるほどやらなければ本番にのせられない。しかし環境が変化すると対応できない。
ほとんどのピアノ弾きにとってはあり得ない話でしょうが、大人から始めた人は、意外にこんな悩みを持つ人も多いのではないでしょうか??
要するに下手くそ??
確かにピアニストにはとんでもなく凄い人がたくさんいますから、単純に自分が下手くそなだけと結論付けるのは間違いではないと思います。
・・・しかし、本人にはわかるんです。
それにしても、さすがに、いくらなんでも、できなさ過ぎではないだろうか??
「もう少しだけでもできたら良いのに・・・。ピアノが全く弾けないわけじゃないのに、初見となるとまるでど素人・・・。」
なにか理由があるんでしょうか??
初見が極端に苦手な3つの理由
理由はズバリ三つです!!
1.鍵盤を見ている。
まず一番目、「鍵盤を見ている」ですが、どんな楽器でも自分の手元を見ていれば、楽譜を見ながら演奏することが難しくなります。
グランドピアノは鍵盤と楽譜の位置がけっこう離れているので、鍵盤を確かめながら弾くと目が凄まじくアクロバティックな動きをしなければなりません。
さらに他の音を聴きながら伴奏したり、緊張する環境で弾くなんてもってのほか。
たまにチラッと見るぐらいはかまわないと思いますが、見る時間が多くなればなるほど、障害は増していきます。
ちなみに盲目のピアニストもおられるぐらいですから、鍵盤を全く見ずに演奏することは普通に可能なようです。
2.簡単な曲をたくさんこなしていない。
二番目の「簡単な曲をたくさんこなしていない」は、一番目の要素と密接につながっています。
大人から始めた人にはありがちと言いますか、私自身がそうだったのですが、演奏する曲がいつも自分にとって「難しい曲」だったのではないでしょうか??
わたしは一応、子供がやるような曲もやったつもりでしたが、大人からピアノを始めたので、その時はブルグミュラーの練習曲ですら「難しい曲」でした。
難しい曲をやると、いちいちつっかえて、鍵盤を確認しながら練習するので、必然的に曲を覚え込んでしまいます。
つまり曲が仕上がるのは「覚えた」からであり、「楽譜に対応した」からではありません!
「楽譜への対応力=初見力」がいつまでたっても、どれだけ練習しても、全く訓練されない状況だったわけです。
レイトスターターのみなさま、いくら難しい曲を練習しても初見力は上がりません!
鍵盤を見ないでも弾けそうな曲をたくさん仕上げてみましょう!
わたしはこれに気付いて、あり得ないほどできなかった初見が、かなりマシになりました。
3.ソルフェージュ能力が低い。
三番目は「ソルフェージュ能力の低さ」です!
ソルフェージュ能力とは、単純に言うと音符を認識する能力のことです。
わたくしは音楽家の家庭に育ちましたが、両親の方針で幼少の頃からの音感教育は受けていませんでした。
私自身、ソルフェージュ能力と音楽的感性は関係ないと思っていたのもあり、ソルフェージュの訓練を怠っていたのです。
そんなわけでピアノを練習し始めた時も、聞こえてくる音がドなのかレなのか、はたまた他の音なのかわからない。
つまり、ピアノを弾く時は、楽譜を見て、手を見て、その運動を覚えて、と完全に映像記憶と運動記憶に頼った練習を続けていました。
そしてある時に、はたと気付いてソルフェージュのレッスンを受け始めました。
すると不思議!あれだけ苦手だった初見がスルスルとでき始めたのです!
よく考えれば当たり前のことで、自分が弾こうとしている音や、弾いた音が、目で確認しなくても合っているか間違っているかわかるので、情報の処理速度が格段に上がります。
大人からピアノを始めた人は、今からでも十分できるようになるので、だまされたと思ってソルフェージュのレッスンを受けてみて下さい。
全く初見のスピードが変わる筈です!
参考記事:大人になってから絶対音感は身につくのか!?【絶対音感のすゝめ】
初見が「極端に」苦手な理由は以上の三つにつきると思います。
初見ができるようになると、曲の仕上がりも早くなりますし、片っ端から色んな曲に触れられるようになるので、ピアノを弾くのがとても楽しくなります。
今後のピアノとの関わりを考えれば、苦手なままにしておくより、少しずつ訓練を始める方が良いのではないでしょうか??
できないのには理由がある
並はずれてできたり、並はずれてできないのには、ぜったい理由があります。初見の問題は、わたくし色々なピアニストに相談しましたが、大体の方が「なぜ自分ができるのかわからない」!
才能のあるなし?なんて話になるわけです。
でも「才能がある、ない」で片づけてしまうのは「原因不明だけどできる、できない」と言っているのと同じですよね。
もちろんすべてが解明できるわけではないでしょうが、「なぜだろう」と冷静に探り続けていく方が、才能の話よりもよっぽど建設的です。
そんな全ての人に恩恵をもたらす知識こそ、突出した才能にも優って、価値あるものかも知れません!