vol.33 “自然体が一番!?”【フェルデンクライス博士の言ったこと】

フェルデンクライス博士の顔

(1) that the proper posture of the body is such that it can initiate movement in any direction with the same ease;
(2) that it can start any movement without a preliminary adjustment;
(3) that the movement is performed with the minimum of work, i.e., with the maximum of efficiency. […]
The Shizentai is essentially the potent state we have described.

良い姿勢とは、
(1)どの方向にも同じ楽さで動き始められ、
(2)準備動作なくどの動きもでき、
(3)最小限の力で、すなわち最大効率で動けるものです。(中略)
自然体(Shizentai)というのが説明してきた力強い状態です。

— モーシェ・フェルデンクライス

引用著作 : Body & Mature Behavior – p104, 105

カラダ♮の解説

モーシェの言葉に日本語が出てきました。
「自然体」とは私たちにとって慣れ親しんだ言葉ですが、西洋言語にはそれに当たる言葉がなかなか見つかりません。
西洋の論理主義を突き詰めていくと、東洋の神秘主義に結論が合致するのは興味深いことです。

人間は、他全ての動物に比べて、慣性モーメント(軸に対しての回転しにくさ)がとても小さく、また重心が高いので、非常に不安定な(位置エネルギーが大きい)立ち方をしています。
しかし、回転しやすく不安定であることは、あらゆる動きに対して小さな力で大きな可能性がある、つまり自由であると言えます。

人間はもともと、自由に動く状態で安定し、安定しようと静止した状態では逆に不安定になってしまうデザインになっています。

慣性モーメントが最も小さく、重心が本来の位置にあるので位置エネルギーをいつでも動きに転化させられ、骨格が体重を支えているので大部分の筋肉は弛緩している状態というのは、まさに「自然体(Shizentai)」そのものなのです。

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